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クリニックブログ

城東内分泌研究会

7/28に製薬会社主催の城東内分泌研究会に参加してきました。

私は内分泌の専門医です。でも内分泌と言われても皆さんピンとこないかと思います。

ホルモンの病気を取り扱うのが内分泌専門医の仕事です。

ホルモンって? ホルモン焼き?あれはもともと捨てるものすなわち「ほうるもん」からきています。

私が扱っているホルモンはほうるもんではありません。もしほうってしまうと、場合によっては命にかかわってしまうほど重要なものです。

どんなに重要かはおいおいお話しできればと思います。

 

実はホルモンの病気は甲状腺疾患を除いては比較的まれです。使われる薬も古い薬が多く、取り扱っているメーカーも少ないため、製薬会社主催の研究会で内分泌が中心になることはめったにありません。そういった意味で今回の研究会は非常に貴重な機会でした。

演題は2つ。

一つは順天堂大学の後藤広昌先生による中枢性尿崩症に関するものでした。中枢性尿崩症とは下垂体というところから出る抗利尿ホルモン(おしっこの出を抑えるホルモン)の出が悪くなってしまう病気です。おしっこをでなくするホルモンが足りなくなるので、当然おしっこが止まらなくなるほど出ます。1日5-6L程度出るのが普通です。崩れるように尿が出るので尿崩症です。おしっこが出過ぎるので当然のどが渇きます。症状は劇的なので診断は難しくないのですが、比較的珍しい病気です。わたしも大学時代を通じて尿崩症の患者さんを経験したのはは10例程度でしょう。

治療としてはこの抗利尿ホルモンを薬にしたものを鼻の中にスプレーします。これで劇的におしっこが止まります。本当に劇的です。最近このスプレー薬がが飲み薬に姿を変え登場しました。飲み薬と言っても正確にはベロの下で溶かします。

後藤先生はスプレー製剤から経口薬への切り替え症例を多数経験なさっており、独自の切り替え方法「後藤メソッド」-私が勝手に名づけさせていただきましたー についてのご講演です。この切り替えは言うほど簡単でなく、外来で行うにはある程度の安全性を担保しながらでないとできません。詳細は省きますが、ある程度時間はかかるものの患者さんの立場にたった、より安全にスムーズな切り替え方法です。後藤先生らしい患者さんの安全を第一に考えた方法で、非常に勉強になりました。興味深かったのは、最終的にはスプレーと経口薬どちらを選ぶかで、意外に今までのスプレー製剤を選ぶ方が多いことです。私もスプレー製剤を使っている患者さんに経口薬をお勧めしましたが、慣れている今の薬が良いとそのまま続けられる方がほとんどでした。

 

2つ目は虎の門病院内分泌センター部長竹内靖博先生による「原発性副甲状腺機能亢進症の診断と治療」です。竹内先生は副甲状腺、骨代謝の分野では日本の第一人者です。今までも学会や研究会などで竹内先生のご講演を拝聴させていただいてますが、今回は副甲状腺機能亢進症に的を絞ってのお話でした。副甲状腺とは甲状腺の背中側にへばりつくように存在する米粒大の臓器で、左右上下の4つあります。コバンザメのように甲状腺に張り付いていますが、甲状腺とは全く別の働きを持っています。主に血液中のカルシウム濃度を一定に保つように働いています。原発性副甲状腺機能亢進症とは、副甲状腺が腫瘍化しホルモンを勝手に作るようになり、血液中のカルシウムが増えます。カルシウムを増やすために骨に蓄えられたカルシウムを動員するので、骨のカルシウムが減り骨粗しょう症になります。またおしっこへのカルシウム排泄も増えるので尿路結石が起きることがあります。裏返すと、骨粗しょう症、尿路結石の患者さんの中にはこの病気が隠れていることがあります。とはいえ比較的まれな病気なので、骨粗しょう症や尿路結石の患者さんは沢山いるので頻度としてはそれほど多くありません。ただ見つけようと思わなければ診断できない病気です。

基本的には手術で病気の副甲状腺を摘出すれば治癒します。しかし手術不能例などの患者さんもおり、そのような患者さんに対する内科的治療について、上がったカルシウムに対する治療、骨粗しょう症に対する治療、尿路結石予防の治療にわけ非常に詳細にご講演いただきました。正直カルシウム代謝は苦手な分野でしたが、今回のご講演でかなり頭の中が整理された感じがあります。

 

両演題とも非常にわかりやすく、勉強になりました。ともに比較的まれな疾患ですが、大きな病院に行かなくても尿崩症の治療ができ、副甲状腺機能亢進症の患者さんを見つけることができるのは、内分泌専門医としての役目だなと改めて感じました。

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